- 教員が「部活があるから帰れない」と感じるリアルな1日の流れ
- 部活動指導に潜む精神的・時間的な負担と孤独
- 部活との付き合い方を少しずつ変える具体的な行動例
- 教員が自分の生活を守るための考え方と勇気の持ち方
目次
部活がある限り、教員は定時に帰れないのか?
「働き方改革」や「定時退勤」が話題になっても、
現場の教員が最初に思うのはこれじゃないでしょうか。
「定時?無理無理。部活あるもん。」
私自身、そうでした。
定時は16:45だけど、部活が終わるのは18:00すぎ。
その後にやっと授業準備や事務作業…。
毎日が“部活に縛られる生活”でした。
でもある日ふと、心の中に
「これ、誰のためにやってるんだろう?」という疑問が湧いてきたんです。
この記事では、
部活指導があることで帰れなかった私のリアルな1日と、
そこから少しでも心を守るためにやってみたことをお伝えします。
「部活があるから帰れない」先生の1日
朝は7時前に家を出て、職員室に着くのは7:15ごろ。
まずは部活の朝練の準備。7:30から朝練スタート。
指導しながら安全にも気を配り、最後の片付けまで見届けて、
急いで着替えて1限の授業に向かう。
そこからは6時間授業+会議や打ち合わせ。
教員同士の調整、保護者からの電話、校務分掌の仕事…。
昼休みは生徒対応や給食指導で、気づけば一度も座らず午後を迎えていることも。
そして15:30。ようやく終わる授業のあと、
放課後はすぐに部活指導へ。
夏は外で、冬は体育館で。
生徒のやる気、ケガのリスク、技術指導、声かけ…。
全神経を張りつめて対応しながら、
終了は18:00〜18:30。片付けも指導のうち。
職員室に戻るころにはヘトヘト。
そこから翌日の授業準備、書類の確認、チームでの申し送り。
すべて終えて学校を出るのは22:00〜23:00。
帰宅後は夕飯を簡単に済ませて、風呂に入って倒れ込むように寝る。
その翌日も、また同じルーティン。
そして土日は試合や大会の引率で丸つぶれ。
代休はあってないようなもの。
この日々を“当たり前”として過ごしていました。
本音:「誰のために、何のためにやってるんだろう」
「部活は生徒のため」
「先生ががんばってこそ学校は回る」
そう言われてきたし、私自身もそう信じていました。
でも、あるときふと、自分に問いかけたくなったんです。
「私は、誰のために、何のためにここまでやってるんだろう?」
寝不足が続いて、イライラして、
部活中の生徒のミスに声を荒げるようになった。
家では何もやる気が起きず、休日は寝てばかり。
家族との会話も減っていった。
そんな中でふと、「これが教育なのかな?」と思ってしまったんです。
成果を出せなければ自分の責任。
でも成果が出ても、褒められることはほとんどない。
感謝もなく、残るのは疲労感だけ。
部活が好きだったはずなのに、
いつの間にか「嫌いにならないようにするのが精一杯」になっていました。
私がやってよかった「帰れない部活」との付き合い方
そんな私が、自分を守るために始めた小さな工夫を紹介します。
● 顧問を外してもらえるよう、“種まき”しておく
いきなり「部活をやめたい」とは言いませんでした。
でも、定期的に管理職や同僚に「ちょっとしんどいです…」とこぼすことで、
いざ希望を出したときに「あのとき言ってたしな」と受け入れてもらいやすくなりました。
● ペア顧問としっかり分担する
全部自分で背負わなくていい。
「火曜と木曜は自分が見るから、月曜と金曜はお願いします」と
はっきり役割を分けたら、それだけでグッとラクになりました。
気を使いすぎて“全部自分でやる先生”になると、限界は早いです。
● 週1日は“部活より自分”の日をつくる
私は水曜日だけは、絶対に17:00には帰ると決めました。
その日は顧問業務を最低限にして、家庭や自分の時間を優先。
最初は罪悪感もありましたが、
その1日があるだけで他の4日は前向きに働けるようになりました。
● 生徒と“ちょうどいい距離”を保つ
以前は、「ちゃんと関わらなきゃ」と無理していました。
でも今は、“教員だからこそ冷静でいる”という視点で接しています。
生徒と適切な距離を保つことで、
部活=自分の人生、という感覚から抜け出せました。
● 「これは仕事だ」と割り切る
最後に決めたのは、部活を“情熱”ではなく“仕事”として捉えること。
この考え方に切り替えたことで、心の線引きができるようになりました。
感情をこめすぎない、完璧を求めすぎない。
そのぶん長く続けられるようになったと感じています。
まとめ|帰れないことを当たり前にしないでほしい
「先生が残るのは当たり前」
「部活をがんばる先生はすごい」
そんな空気の中で、苦しんでる人はたくさんいます。
でも、黙って耐えている限り、その空気は変わりません。
私は声を大にして言いたいです。
「部活があるから帰れない」を、当たり前にしないでください。
すべてを変えるのは難しいけど、
自分の心と生活を守るための“できること”は、必ずある。
あなたにも、自分の時間があります。
あなたにも、休む権利があります。
「教員だから」を理由にしなくていい。
少しずつ、“自分のために帰る練習”を始めてみませんか?
【あとがき|「やめたい」と言える空気は、誰かがつくるもの】
教員って、がんばっている人ほど「もう無理です」と言いづらい仕事だと思います。
部活もそのひとつ。責任感がある人ほど、自分を後回しにしてしまいます。
でも本当は、「もうしんどい」「帰りたい」って言っていいんです。
私が少しずつ働き方を変えられたのは、
「それでも大丈夫だよ」って言ってくれた先輩や同僚がいたからでした。
だから今度は、私がそれを言う番だと思っています。
“先生が自分の生活を大事にしていい”
“部活を理由に、壊れなくていい”
この記事が、誰かにとってそんな“許可のサイン”になれたら嬉しいです。
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